古い写真をデータ化して整理
先日、部屋の整理をしていたら、大量の昔の写真アルバムが押し入れから出てきました。経年劣化で写真アルバムや中の写真は色褪せてしまっていましたが、大切な思い出の写真なので捨てることもできません。でもこのまま放っておけば、さらにどんどんと劣化してしまい写真を見ることも難しくなってくるはずです。
そんな昔の写真を色褪せずに保存するための方法は「写真のデータ化」です。写真をデータ化してしまえば、データ化した時点での色合いのまま、データを消さない限り実物の写真のように色褪せていくこともありません。
写真をデータ化する方法はいくつかありますが、どの方法が一番キレイに写真をデータ化できるのか、実際にデータにしてみて写真のクオリティを比較、検証してみたので、昔の写真整理に悩んでいる人は参考にしてください。
写真をデータ化する方法
写真をデータ化するには、以下の3つの方法があります。
- スマホで古い写真の写真を撮る
- スキャナーで取り込む
- 業者に委託する
上の2つは自分で作業するやり方で、最後はお金を払って写真のデータ化を丸投げする方法です。一番確実なのは一番下の「業者に委託する」方法ですが、コストが掛かってくるのが難点。ではそれぞれの方法で、どのぐらい写真をキレイにデータに移せるのか、それぞれの方法で比べてみたいと思います。
スマホで古い写真の写真を撮る
まず最初の写真データ化の方法は「スマホで古い写真の写真を撮る」方法です。この方法は一番簡単ではあるけれど、古い写真を写真に撮って保存するというのはクオリティ的にも心配なところです。
実際に古い写真を写真に撮る際には、できるだけ照明は明るく、忠実に写真の色を再現してくれる白い光で撮る必要があり、さらに影や光の反射が無いように撮らなくてはいけないなど、注意しなくてはいけない事項がてんこ盛りです。
写真1枚を撮るのにかかる時間は、適当に撮る場合は高速でいけますが、クオリティに拘ればこだわるほど時間がかかってきます。そして拘っても、写真データのクオリティは結局スマホのカメラ性能に依存してしまう部分も大きいので悩むところです。
写真データのキレイさ:スマホ撮影
実際にスマホを使って古いL版の写真を写真撮影をしてみました。撮影で使用したスマホは少し古めのiPhone Xs。データ化された写真が上のもの(サイズ L版:127mm × 89mm / 350dpi で保存)となりますが…パッと見た感じ、写真データは写真実物に近い再現率になっていているのに驚きです。
色については元の写真が50年以上前のものなので色褪せてしまっていますが、その色褪せ度も忠実にデータ化されています。
精密部分は劣化
しかし、データを拡大表示すると細かい精密な部分は写しきれておらず、例えば顔の細かいところや着物の模様などはモラモラっとしてぼやけてしまっているのが分かります。
とはいえ、このぐらいの精度なら、写真L版でプリントアウトしてしまえばそれほど気になるものでもないかもしれません。
スキャナーで写真を取り込む
続いての方法は、スキャナーを使って写真をスキャンして取り込む方法です。スキャナーを使う方法であれば、スマホ撮影のように写真を撮影する環境を気にする必要が無いため、ボタン一つで簡単に写真を取り込めるのが大きなメリットです。
また今の標準的なスキャナーであれば高解像度(600dpi~1200dpiなど)でスキャンできるのもポイント。ただし、高解像度になればなるほど写真を取り込める時間も長くなるので注意が必要です。
例えばL版の写真を解像度600dpiで取り込もうとすると、機種にもよりますが、私の家のブラザーの複合機のスキャナー(MFC-J738DN)の場合、約20秒ほどスキャンに時間がかかってしまいます。
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データ化したい写真が大量にある場合は、スキャナーでのデータ化はそれ相当の時間がかかってしまうのがネックです。
写真データのキレイさ:スキャナー取り込み
実際に600dpiの解像度でスキャンした写真データ(スマホ撮影と同じくサイズ L版:127mm × 89mm)がこちら。
スマホ撮影に比べて、全体的に色が濃い目に取り込まれているのがわかります。この色味についてはスキャナーによって差があると思われますが、私の家のスキャナーの場合は、実物写真と比べて少し濃い目になっており、写真によっては元写真に比べてデータ写真は暗い印象になってしまうかもしれません。
精密部分はスマホよりキレイ
スキャナーで取り込んだ写真データを、スマホ撮影の時と同じく、同じ場所を同じ倍率で拡大して比較してみましょう。すると、スマホ撮影の時はモラモラになっていた精密部分がスキャナーで取り込んだ場合はかなりキレイに取り込まれているのがわかります。
これはつまり、スマホ撮影で写真をデータ化するよりも、スキャナーで600dpi程度の解像度でスキャニングしたほうが、より細部まで美しく写真をデータ化できるというわけです。
写真データ化を業者に委託
写真のデータ化を自分でするのは面倒くさい!そんな場合は、写真のデータ化を業者に委託してしまうのが簡単です。
料金は、業者にもよりますが、だいたいL版1枚(300dpi)で10円ちょっとから。そこまで高いお値段でもないかな?と思いますが、枚数が多くなってくるとかなりの金額になります。
また、データ化完了までに掛かる時間は数ヶ月程度とかなり気長に待つ必要があり、より高画質のデータ化を求める場合はコストもその分掛かってくるので、写真のデータ化を業者に委託する方法はお金と時間に余裕がある人向けとなっています。
写真データ保存の注意点
写真をデータ化する方法は、予算や時間の問題でどれが一番最適かはシチュエーションによって異なってくるので、自分にとってどの方法が最適かをデータのクオリティと労力、経費を考えながら、一番最適な方法を選んでみてください。
最後に、写真のデータ化をする上での注意点を一つ。
それは写真データを保存する記憶メディア(HDD、フラッシュメモリ、CD、DVDなどのこと)の選別です。データを保存できる記憶メディアには、以下のような大体の耐用年数(寿命)があると言われています。
記憶メディア | 年数 |
CD / DVD / Blu-Ray | 5年~20年 |
フラッシュメモリ(microSDなど) | 1年~3年 |
SSD | 5年 |
HDD | 5年~10年 |
M Disc | 100年以上 |
各メディアの耐用年数は、使用環境や保管状況によりかなりの差異があります。
例えばmicroSDなどのフラッシュメモリになると、その耐用年数(寿命)は1年~3年と非常に短くなっています。実際、私が持っているmicroSDを確認してみましたが、古いものは読み取りがかなり怪しい挙動になっているものも多くなっていました。この状態では大切な写真データの長期保存には適していません。
せっかく苦労して写真をデータ化しても、耐用年数の低い記憶メディアに保存してしまうと、メディア自体の劣化や破損によりデータが消失してしまうことになります。
そのため、データの長期保存はCDやDVD、Blu-rayといった記憶メディアが最適です(それらの耐用年数を強化したM Discが一番いいですが書き込みには対応したドライブが必要)。
ただどのメディアで保存した場合でも、定期的にデータをチェックして、その記憶メディアが寿命を迎える前に、新しい記憶メディアにデータを移す作業は忘れないようにしましょう。